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認定基準記の2の(1)関係
「鼓膜又は中耳に著変がないこと」とは、すなわち伝音難聴ではないことの趣旨である。 |
(2) |
解説2関係
騒音レベル及びばく露期間の解釈を「作業者の耳の位置における騒音がおおむね85dB(A)以上である業務」、「おおむね5年又はこれを超える期間」としたのは、ISO(国際標準化機構)、日本産業衛生学会の勧告及びその他の文献等を参考としたものである。
これらの数値は、85dB(A)※ 以下の騒音で、1日8時間以内のばく露であれば10年以上継続してばく露されても難聴が起こりにくいこと、騒音の人体に対する影響度は、音の強さだけではなく、その周波数成分、作業環境、個体差により異なること等を十分考慮し定めたものである。
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※85dB(A)の「(A)」とは、騒音計のA特性(人の聴覚特性に近く、低音部の音圧を低く評価するように周波数補正回路を組込んであるもの。)で測定したものである。 |
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(3) |
解説4の(2)関係
騒音性難聴以外に伝音難聴を合併していると思われる混合難聴(純音聴力検査により得られたオージオグラムにおいて、骨導値と気導値のいずれも正常値より悪く、かつ、気導値に比べて骨導値が良い場合)の業務上外の認定に当たっては、解説4の(2)に示した各種検査を行い、伝音難聴についてもその原因を明らかにすること。その結果、伝音難聴の原因が業務に起因したものであると判断され(例えば、業務中に熔接の火花で鼓膜に病変をきたした等)、かつ、感音難聴部分(骨導値)が騒音性難聴の特徴を示すことにより業務に起因したものであると判断される場合は、業務上疾病として取り扱うこと。また、伝音難聴の原因が、業務に起因するものではないと判断される場合であっても、感音難聴部分(骨導値)が騒音性難聴の特徴を示すことにより業務に起因しているものであると判断される場合は、当該感音難聴について業務上疾病として取り扱って差し支えない。 |
(4) |
解説4の(3)関係
騒音性難聴に加え、騒音以外の原因による感音難聴を合併していることが疑われる場合は、必要に応じ、解説4の(3)に示した内耳機能検査等を行うとともに、解説6の(2)に記述しているように、過去の聴力検査結果及び既往歴等を調査し、診断を明確にすること。その結果、当該難聴の原因として、業務が相対的に有力であると判断される場合は、業務上疾病として取り扱って差し支えない。
また、機能性難聴(詐聴等)が疑われる場合は、日常の会話状況を調査し、必要に応じ、解説4の(3)に示した内耳機能検査、他覚的聴力検査(具体的には、脳幹反応検査、脳波聴力検査、蝸電図による検査等がある。)等を行った上で、ステンゲル法、ロンバート法等の検査を加えるなどして、業務上外の判断には十分留意すること。 |