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超硬合金の粉じんを飛散する場所における業務による気管支肺疾患
 【昭和56年2月2日 基発第66号
○超硬合金の粉じんを飛散する場所における業務による気管支肺疾患 (昭和56年2月2日労働省告示第7号第1号)

(要旨)
 超硬合金の粉じんにさらされる環境下において業務に従事することにより発生する気管支肺疾患を業務上の疾病として定めたものである。

(解説)
(1)  「超硬合金」とは、炭化タングステン等とコバルトを混合し、焼結して得られる合金をいい、切削工具の刃先、ダイス等に使用される。
(2)  「超硬合金の粉じん」とは、超硬合金を製造する工程において発生する粉じんで、その成分は炭火タングステン等の金属炭化物(炭化タングステンの他に、その用途により、炭化チタン、炭化タンタル等が添加されることがある。)とコバルトとが混合したものである。なお、超硬合金を研磨する工程において発生する粉じんも、同成分である限り、これに該当する。
(3)  「飛散する場所における業務」としては、炭化タングステン等の金属炭化物とコバルトを混合する業務、超硬合金組成粒を加圧し半焼結したものを成型加工する業務、焼結後の超硬合金を研磨する業務等がある。
 なお、超硬合金工具等を用いて金属等の切削、加工等を行う業務では、超硬合金の粉じんが飛散するおそれはまずないものと考えられる。
(4)  「気管支肺疾患」には、次の2つの型が認められている。
 間質性肺疾患
 初期の段階での特徴は、咳、労作時の呼吸困難及び心悸亢進で、進行した症例では肺基底部にラ音(注1)が聴取され、又バチ指(注2)が見られる。この進行した段階では、間質性肺線維症へと進展することがあり、胸部エックス線像及び肺機能検査からは、「じん肺」に似た臨床像が見られる。
 外因性の喘息様気管支炎
 感作型(主にアレルギー性)の喘鳴を伴う咳の発作が偶発的に発生するもので、作業から離脱すると軽快し、作業に復帰すると再発する。
(注1)  ラ音:気管、気管支、肺胞又は肺空洞内に分泌物や血液等が停滞し、空気と混じって気泡を作りあるいは潰れるとき等に発する音で、吸気時に聴こえることが多い。
(注2)  バチ指:心臓疾患、胸部臓器疾患等においてみられる手指末端の肥大

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