HOME情報公開推進局  認定基準
振動障害に係る適正給付管理対策の運用について
 【平成8年1月25日 事務連絡第1号】
○振動障害に係る適正給付管理対策の運用について

 振動障害に係る適正給付管理対策については、平成8年1月25日付け基発第35号「振動障害に係る保険給付の適正化について」により指示されたところであるが、これに係る事務処理等の一層の円滑化を図るため、別添「振動障害に係る適正給付管理対策の運用について」を取りまとめたので、本対策の具体的運用に資することとされたい。
 なお、本事務連絡の施行に伴い、別紙の事務連絡は廃止する。
 


別紙
 廃 止 事 務 連 絡

昭和61年11月28日  事務連絡第52号
「振動障害に係る保険給付の適正化についての運用上の留意点について」
昭和63年8月31日  事務連絡第22号
 「振動障害に係る保険給付の適正化についての一部改正についての運用上の留意点について」
平成2年10月29日  事務連絡第29号
 「振動障害に係る適正給付管理対策の運用について」
平成6年3月29日  事務連絡第6号
 「振動障害に係る経過観察の具体的運用について」


別添
振動障害に係る適正給付管理対策の運用について

1 適正給付管理対象者の管理方法
(1)  適正給付管理名簿の整理・作成等
 適正給付管理に資するため、月始めに適正給付管理名簿(適管様式第2号)を都道府県労働基準局(以下「局」という。)のラインプリンター装置(LP)に配信するので、局は適正給付管理名簿に係る情報を労働基準監督署(以下「署」という。)に通知する等によりこれを有効に活用すること。
 なお、配信する適正給付管理名簿は、新規対象者分、1年経過者分及び療養中止者分であるので、局においては、これらを活用し適正給付管理対象者(以下「管理対象者」という。)に係る情報を整理すること。
 局及び署は、適正給付管理のため、次の適正給付管理名簿を必要とする場合には、適正給付管理名簿等要求帳票(帳票様式)により、随時、配信要求を行うことができるので調査等に活用すること。
   適正給付管理名簿(事業場別)
 適正給付管理名簿(医療機関別)
 適正給付管理名簿(傷病別)
 適正給付管理名簿(治ゆ見込者)
 
 なお、上記適正給付管理名簿は、振動障害療養者の療養期間別に作成することが可能であるので、各局の実情に応じた適正給付管理名簿の利用等について工夫すること。

(2)  適正給付管理カードの整理・作成等
 振動障害療養者ごとの給付情報を印書した適正給付管理カード(適管様式第1号)(以下「管理カード」という。)は、適正給付管理名簿等要求帳票により配信要求及び検索ができるので、振動障害療養者が属する事業場の所在地を管轄する都道府県労働基準局(以下「所轄局」という。)又は労働基準監督署(以下「所轄署」という。)においては、適宜、管理カードを作成し、管理対象者に係る情報として活用すること。
(3)  調査事項の登記
 調査事項等のうち、次の事項については、短期給付共通項目入力(変更)帳票(帳票様式)により、短期給付一元管理システムの一元管理台帳に登記することができること。
 @ 労働者の住所     A 調査書(復命書)番号  B 調査年月日
 C 調査の相手      D 治ゆ見込年月日     E 就労見込年月日
 F 労働者の漢字氏名  G 労働者の漢字住所
(4)  管理対象者に係る記録の整備
 管理対象者に係る記録については、個人別ファイルとして次の関係資料を編綴することにより記録の整備を図り、調査等に活用すること。
(イ)  管理力一ド又は振動障害個人別管理票(振動様式第1号)(以下「管理カ-ド等」という。)
(ロ)  労働者災害補償保険法施行規則(以下「労災則」という。)第19条の2に基づく傷病の状態等に関する報告書
(ハ)  診療費請求内訳書(以下「レセプト」という。)の写し
(ニ)  振動障害診断所見書(振動様式第2号)(以下「所見書」という。)
(ホ)  振動障害に関する意見書(振動様式第3号)(以下「意見書」という。)
(ヘ)  その他適正給付管理上必要な書類
 所轄局においては、診療費の審査時に治療内容等に疑義のあるものについては、レセプトの写しに問題点を記入した連絡票を添付して送付する等により所轄署に連絡すること。また、他局管内の管理対象者が当該局の医療機関で療養している場合には、必要に応じて当該局は情報を所轄局に連絡するとともに、所轄局は得た情報をさらに所轄署に連絡すること。
 なお、レセプトの写しは、(財)労災保険情報センタ一(以下「RIC」という。)より入手することとするが、RICへの依頼については、局で各署分を集約して行うこと。
 適正給付管理対策を効率的に推進するためには、他の労災業務と関連性を持たせることが重要であることから、休業補償給付の支給決定時の情報等は管理カード等に編綴又は記入すること。

上に戻る

2 事務処理体制の整備
(1)  局は、適正給付管理の実効を期すため、労災医療監察官を中心に署の管理上の問題点等に関して、相談・指導に当たらせること。
 なお、労災医療監察官が配置されていない局にあっては、社会復帰指導官、労災保険給付調査官等の中から適任者を選任すること。
(2)  労災医療監察官等は適正給付管理に関する情報を管理し、適宜、署の処理方針、処理方法等について指導するとともに、必要に応じ署の事務処理を援助すること。
(3)  適正給付管理対策の推進に当たっては、局労災主務課長、労災補償監察官、労災医療監察官、社会復帰指導官等及び署労災主務課長等を構成員とする局署検討会等を開催することにより局署一体となった取組を行うこと。
 また、この局署検討会等の開催に当たっては、各署における症状調査対象者の選定、調査手法・調査時期等について検討を行う等実効あるものとなるよう努めること。
(4)  診療費の審査においては、投薬、注射等の診療内容及び検査状況のほか、療養の必要性についても検討を行う等各業務に関連性を持たせることにより、効率的な適正給付管理対策の推進を図ること。
(5) 地方労災医員協議会(以下「局医協議会」という。)、診療費審査委員会等を有効に活用するため、例えば、局医協議会については、治療内容、治療効果、療養の要否等の判断、また、診療費審査委員会等については、投薬、注射、検査、入院等の必要性の判断に当たり、双方で有する情報を交換すること。また、これが確実に実行されるよう系統図(別紙参照)を作成する等により、局医協議会、診療費審査委員会等の役割を明確にすること。

上に戻る

3 症状の把握
(1)  症度区分の判断
 過去の症度区分の状況から判断して合理的理由も認められずに症度区分の変更がなされた場合、検査成績等から判断して症度区分が適当でないと思われる場合等症度区分に疑義がある場合には、主治医の意見を徴するとともに、必要に応じて受診命令(鑑別診断)等により適正な症度区分を判断すること。
 症度区分が不明(症度区分記載拒否を含む。)な場合には、受診命令(鑑別診断)等により適正な症度区分を判断すること。
(2)  症状の把握に当たっての留意事項
 所見書の提出期限は、当該主治医等の業務の状況等を考慮の上、1か月程度の期間を設けることとするが、提出期限を経過しても提出がない場合には、1週間以内に督促を行うこと(提出期限は10日程度とすること。)とし、この督促に係る事蹟は、管理カード等に記入すること。
 また、所見書の提出がない場合でも、振動障害に係る検査等が行われている場合は、検査成績等の資料の収集に努めること。
 適正給付管理対策は、振動障害療養者の症状、治療経過等を把握した上で実施するものであるので、過去に検査が行われていなかったことにより検査成績等の資料が収集できなかつた場合には、定期的かつ経年的に、例えば、レセプトから処置の内容、投薬・注射等の薬剤名とその量、実診療日数等を把握するほか、主治医の意見等を収集することにより症状を把握すること。

4 症状調査対象者
(1)  症状調査対象者の選定
 所轄署は、管理対象者であって、原則として4年以上療養継続している者のうち、その間の検査成績等から判断し、その症状が安定し又は改善されずこれ以上治療を行っても治療効果が認められないと思われる者を症状調査対象者とすること。
 なお、正当な理由なく定期的な治療行為を受けていないと認められる者、外部からの通報(投書等)により調査が必要な者等療養継続に問題があると認められる者については、直ちに実地調査を行い療養の要否の判断を行うこと。
(2)  症状調査対象者からの除外者
 症状調査対象者からの除外者については次によること。
 療養期間(4年)にかかわらず主治医が症状が固定していると判断する者
 当分の間、症状調査対象者から除外する者の目安としては、末梢循環障害(V)が下表の症度区分の一つに該当し、かつ、末梢神経障害(N)が下表の症度区分の一つに該当する者
末梢循環障害(V)
症度区分 2・2 2・3 3・2 3・3
末梢神経障害(N)
症度区分 2・3 3・2 3・3
 なお、これらの者についても、定期的(夏季と冬季の年2回程度)に主治医から所見書を徴すること。

上に戻る

5 症状調査の実施
(1)  主治医等に対する調査
 主治医等に対する調査に当たっては、症状調査対象者の症状等を的確に把握するため、事前に現在までの症状経過、治療内容等の医学的事項について所轄局署内で十分な検討を行うとともに、疑問点等については事前に地方労災医員(以下「局医」という。)等専門医に相談の上で実施すること。
 主治医等に対する文書調査
 主治医等に対して文書により調査を実施する場合には、例えば次のような事項を照会し、症状を的確に把握すること。
(イ)  現在までの療養及び症状の経過
(ロ)  症状が安定しているか否か
(ハ)  症状が安定していない場合は、現在の症状の詳細
(ニ)  治療の効果があるか否か
(ホ)  治療の効果がある場合は、現在の治療内容とその具体的な治療効果
(ヘ)  重筋労働、軽作業、事務的作業等の就労の可否
(ト)  今後の具体的な治療方針
(チ)  症状固定(治ゆ)の見込時期
(リ)  症状固定(治ゆ)の見込時期が3か月を超える場合又は不明の揚合にはその具体的理由
 主治医等に対する実地調査
(イ)  主治医等から意見を求める場合には、症状調査対象者の症状及び症状経過、治療内容及び治療効果、今後の治療方針・症状固定(治ゆ)の見込時期等について具体的な意見を求めること。
 なお、その際には、労災保険制度における症状固定(治ゆ)の概念、経過観察に関する考え方、障害補償給付、アフターケア及び社会復帰援護制度等について十分説明を行うこと。
(ロ)  所轄署は実地調査を行う場合には、当該医療機関の業務の状況等にも配慮し、事前に所轄局と協議するとともに、所轄局は必要に応じて医療機関との調整を行うこと。
(ハ)  実地調査に当たっては、適正給付管理対策に係る調査復命書(適管様式第4号)(以下「調査復命書」という。)を活用し、的確な調査に努めること。
(2)  症状調査対象者に対する調査
 症状調査対象者に対する調査は必要に応じて行うこととするが、症状調査対象者が受診した医療機関での現在までの症状経過、治療内容等の資料を整理し調査事項を取りとめた上で行うこと。
 また、既に調査が行われている場合は、その調査内容の経年的な変化を十分に把握した上で行うこと。
 調査力法
 調査は、症状調査対象者の実情等を考慮して、訪問調査又は呼出調査の方法を選択すること。
 調査事項
 調査は、過去及び現在の症状、治療内容、治療効果、日常生活の状況等の療養に関する事項に限ることとし、家族の収入額、田畑の所有の有無等療養に直接関連のない事項については調査しないこと。
 また、その際には、労災保険制度上の症状固定(治ゆ)の概念、経過観察に関する考え方、障害補償給付、アフターケア及び社会復帰援護制度等について十分説明すること。
 調査に当たっては、調査復命書を活用し、的確な調査に努めること。
(3)  レセプトの写しの送付依頼
 症状調査対象者の療養経過等は、今後の療養の要否の判断に当たっての有力な資料となることから、所轄署は、調査に際して必要な場合には、所轄局に対し、当該症状調査対象者に係るレセプトの写しの送付依頼を行うこと。
 この場合、他局管内の医療機関で受療している症状調査対象者に係るレセプトについては、所轄局は当該局に対しその写しの送付依頼を行うこととし、当該局は、速やかにその写しを送付すること。
 なお、送付依頼するレセプトの写しは調査に必要な最小限のものに限ること。

6 受診命令(鑑別診断)
(1)  受診命令(鑑別診断)は、労働者災害補償保険法(以下「法」という。)第47条の2の規定に基づき、労働基準監督署長(以下「監督署長」という。)が保険給付の請求書に添付された診断書、所見書、意見書、エックス線フィルム等の資料のみでは医学的判断資料が十分でなく、業務上外、症状固定(治ゆ)等の判断等を行うことが困難であると認めた場合等に行うものであること。
(2)  振動障害療養者の症状について、レセプト等から他疾患の存在又は他疾患が振動障害に与える影響が疑われる等受診命令(鑑別診断)を行うことにより療養の要否等がより明確に判断できると認められる場合には、必要に応じ受診命令(鑑別診断)を行うこと。
 なお、鑑別診断を依頼する医師については、症状調査対象者の疾病についての臨床経験があり、また、検査設備を有している公的医療機関に所属する医師とすること。
(3)  受診命令(鑑別診断)を行う場合としては、上記以外に例えば次のような場合があること。
 経過観察中の症状の悪化の判断、経過観察終了時の療養の要否の判断等に当たって、監督署長と主治医の意見が一致しない場合
 過去の症度区分の状況から判断して合理的理由も認められずに症度区分の変更がなされた場合、検査成績等から判断して症度区分が適当でないと思われる場合等症度区分に疑義がある場合
 症度区分が不明(症度区分記載拒否を含む。)な場合
(4)  受診命令(鑑別診断)の運用に当たっては、受診者に対してその理由を十分に説明して理解と協力を得るよう努めること。

上に戻る

7 経過観察
(1)  経過観察の趣旨
 経過観察とは、監督署長が症状調査対象者のうち、治療を止めても症状が悪化しないと思われる者について、主治医等の意見も踏まえ、治療効果、療養の要否等を判断するために、一定期間その症状について観察するものであること。
(2)  経過観察については、次の場合があること。
 主治医が経過観察の趣旨、労災保険における症状固定(治ゆ)の考え方等を理解した後、監督署長が当該主治医の意見を尊重し経過観察を行う場合(「主治医方式」という。)
 経過観察の趣旨、労災保険における症状固定(治ゆ)の考え方等の説明を再三行ったにもかかわらず、主治医の理解が得られないため、監督署長が局医協議会に意見を求めて経過観察を行う場合(「局医協議会方式」という。)
(3)  経過観察期間
 経過観察期間は、監督署長が主治医又は局医等専門医の意見を踏まえ決定するものとし、その期間は最長12か月とすること。
 ただL、経過観察中において、振動工具の使用や身体に悪影響を及ぼす行為を行ったことが明らかな場合等経過観察の趣旨に反するような行為が認められた場合には、経過観察を即時に中止するとともに、主治医及び局医等専門医の意見を求め、療養の要否の判断を行うこと。
(4)  経過観察中の診療行為
 経過観察中の診療行為は診察、生活指導、検査、作業療法等を中心に行うこととし、手術、薬物療法、理学療法等の積極的な治療は原則として中止するよう主治医に対して説明を行うこと。
 なお、症状調査対象者から疼痛等が激しく出現したとの自訴がある場合に、主治医の判断で消炎・鎮痛のための一時的な投薬、注射等を行うことまでも中止するものではないこと。
(5)  経過観察中の転医の取扱い
 経過観察中における転医については、経過観察の趣旨が損なわれることのないよう、事前に当該症状調査対象者から監督署長に連絡させること。
 なお、転医に係る取扱いについては、経過観察の通知文(お知らせ)に記載することで症状調査対象者への説明は省略して差し支えないこと。
 経過観察中に症状調査対象者が転医した場合には、監督署長は、転医後の主治医に経過観察中である旨説明し、引き続き経過観察を実施すること。
 この場合の経過観察期間は、転医前の主治医及び症状調査対象者に通知した経過観察期間の残期間とすること。
 ただし、合理的な理由もなく転医した場合には、経過観察を終了したものとして処理することとし、主治医の意見を徴した後、局医協議会等専門医に意見を求め療養の要否の判断を行うこと。
(6)  経過観察中又は経過観察終了時に症状が悪化した場合の取扱い
 主治医は経過観察中又は経過観察終了時に症状調査対象者の症状が悪化したと判断した場合には、監督署長に連絡すること。
 主治医から連絡を受けた監督署長は、主治医の意見を徴した上、所見書等客観的に判断できる医証に基づきその後の取扱いを決定すること。
 なお、この場合、監督署長は主治医の意見が適当と認める場合には、経過観察を中止し療養継続として取り扱うこととするが、検査成績等を含む主治医の意見に疑義がある場合には、必要に応じ受診命令(鑑別診断)を行った上で局医協議会等専門医の意見を徴し、その取扱いを決定し、主治医に連絡すること。
 経過観察中又は経過観察終了時に、症状が悪化したか否かを判断する場合の目安は、末梢循環障害(V)及び末梢神経障害(N)に係る検査成績(L)の症度区分がいずれも1以上悪化したことが明らかに認められる場合であること。
 なお、末梢循環障害(V)又は末槍神経障害(N)に係る検査成績(L)の症度区分のいずれかが1以上悪化したことが明らかに認められる場合であって、上記4の(2)のロの症状調査対象者からの除外者に該当することとなった揚合には、療養の継続が必要と認められる者として取り扱うこと。

8 経過観察及び療養継続とした者の措置
(1)  経過観察とした者については、その期間終了後、遅滞なく意見書及び所見書を主治医から徴した上で、その後における処理方針を決定すること。
 なお、経過観察を実施した後、主治医の意見のみによって症状固定と判断した場合は、所見書を徴する必要はないこと。
(2)  療養継続とした者については、管理カ一ド等にその旨記入し、引き続き適正給付管理に努めること。

上に戻る

9 主治医の意見等
(1)  監督署長は、症状調査対象者を決定する際に疑義のある場合、症度区分に疑義がある場合、療養の要否の判断を行う場合、症状調査対象者が合理的な理由なく転医した場合等には、必要に応じ主治医の意見を徴することとするが、その際、労災保険における症状固定(治ゆ)の概念、経過観察に関する考え方、障害補償給付、アフターケア及び社会復帰援護制度等について十分説明し、主治医の理解を得た上で意見を徴すること。
(2)  症状の把握に当たっては、労災則第19条の2に基づく報告書に添付された診断書のほか、所見書、意見書及び調査復命書を活用すること。
 なお、意見等を徴することを主治医が拒否するような場合には、拒否の理由等を調査復命書又は管理カード等に記入すること。

10 局医協議会への協議等
(1)  監督署長は、振動障害療養者の中で、毎月の治療内容、所見書、意見書、主治医及び振動障害療養者の調査結果等から、療養の要否等の判断に当たっての医学的意見を求める必要がある場合には、局医協議会に意見を求めた上で、その後の処理方針を決定すること。
 したがって、監督署長は、主治医から意見書等を徴した結果、療養の継続又は経過観察が必要と認められる者については、局医協議会に協議することなく必要な措置を行って差し支えないこと。
(2)  監督署長は、局医協議会の協議を求める場合には、以下に示す資料を局あて提出すること。
イ 局医協議会の協議を求める旨の依頼文書
ロ 意見聴取をする理由等を記入した書面
ハ 管理カード等
ニ レセプトの写し
ホ 所見書
へ 意見書(局医協議会直前の主治医の意見書)
ト 労災則第19条の2に基づく傷病の状態等に関する報告書に添付された診断書
チ その他協議に必要な書類
(3)  監督署長は主治医から意見書を徴する場合には、以下の事項に留意すること。
 意見書の提出期限は、当該主治医の業務の状況等を考慮の上、1か月程度の期間を設けること。
 提出期限を経過しても主治医から意見書の提出がない場合には、1週間以内に督促(提出期限は10日程度とすること。)を行い、督促に係る文書の写しを保存すること。
 また、督促に係る提出期限を経過しても意見書が提出されない場合には、主治医に十分説明すること等により理解を求め、重ねて督促を行うこと。
(4)  上記(3)の口の督促を行っても提出されない場合には、管理力一ド等にその旨を記入すること。
 なお、意見書は療養の要否を判断するに当たって主治医の最新の意見を反映させる趣旨で提出させるものであるから、再三の督促を行っても提出されない場合には、主治医に既存の資料により判断する旨を伝え、その後、局医協議会に協議すること。
 また、この経過については、行政としての手続きの事蹟であることから、管理カード等に記入すること。

上に戻る

11 局医協議会の運営に当たっての留意事項
(1)  局医協議会への協議は、症状固定(治ゆ)を念願においたものではなく、療養の要否の判断等に当たっての医学的意見が必要である場合に協議するものであること。
(2)  局医協議会の意見は、主治医の意見等に対応して、できるだけ詳細に記述されることが必要である。したがって、例えば、治療内容(薬剤名、理学療法の具体的な治療等)の特徴的な事項を表示し、自覚症状、身体所見又は検査成績から症状の推移について付言し、現に症状固定(治ゆ)にあるか又は療養を要するか(経過観察を含む。)が記載されることが必要であること。
 また、局医協議会の検討結果については、その後の主治医及び振動障害療養者に対する説明に当たっての重要な医学的根拠となるものであるので、結論だけでなくその結論に達した判断理由等についても十分に整理しておく必要があること。
(3)  診断書、所見書、意見書等医証の効力がおおむね3か月程度とされていることから、局医協議会の開催時期に合わせた計画的な医証の収集や局医協議会の随時開催等の配慮が必要であること。

12 主治医及び症状調査対象者に対する文書による通知及び事前説明
(1)  監督署長は、調査後次の場合には主治医に通知すること。
イ 症状固定(治ゆ)と判断したとき
ロ 療養継続と判断したとき
ハ 経過観察を実施するとき
(2)  監督署長は、調査後次の場合には症状調査対象者に通知すること。
イ 症状固定(治ゆ)と判断したとき
ロ 経過観察を実施するとき
(3)  監督署長は、上記(1)及び(2)に係る通知を発出する前に、主治医及び症状調査対象者に対しその内容を説明すること。
 特に、監督署長が症状固定(治ゆ)の判断を行った場合には、主治医及び症状調査対象者に対し、その結論に達した判断理由等も含めて十分な説明を行い、形式的な通知や画一的な対応に止まることのないよう留意すること。
 また、最終的な判断は監督署長が行うものであることから、仮にも「局医協議会の判断(決定)である」といった誤った説明を行うことのないよう配意すること。
 その際、労災保険制度における症状固定(治ゆ)の概念、障害補償給付、アフターケア、社会復帰援護制度等について十分説明を行うこと。
(4)  上記(1)及び(2)の通知は、「症状固定(治ゆ)の認定について(通知)」(適管様式第5号及び第6号)、「療養の継続について(通知)」(振動様式第8号)、「症状の経過の観察について(通知)」(振動様式第9号及び第1O号)によること。
(5)  症状固定(治ゆ)の通知をする場合には、医療機関の事務処理や症状調査対象者に混乱を生じさせないようにすること等を考慮し、通知が到達する日と症状固定(治ゆ)とする日の問におおむね1か月の期間を置くこと。
 しかしながら、この期間を2か月、3か月等とすることは、局医協議会の意見提出日時と署長の治ゆ認定日時との間に時間的な乖離を生じさせるので適当でないこと。

上に戻る

13 適正給付管理対策実施上の留意事項等
(1)  留意事項
 振動障害療養者の通院回数が、治療指針に示す回数を超える場合には、当分の間、主治医及び振動障害療養者に対する指導は行わないこと。
 しかしながら、従来の通院回数を超えて通院を行うこととなった者については、主治医からその必要性について意見を徴すること。
 振動障害は、就労と治療効果との関係については、一般的に入院期間を除き、就労しながら治療を行うことがより効果的である。しかしながら、通院日以外の日について療養のため労働することができないものとして休業補償給付の請求がなされた場合には、当分の間、主治医及び振動障害療養者に対する指導は行わないこと。
(2)  所見書の提出
 所見書の提出について、主治医に十分な理解を求めるための方策を尽くLても、所見書を提出しない医療機関において療養を行っている症状調査対象者を適正給付管理の対象外とすることは公平を欠くこととなるので、再三の提出依頼(督促に係る文書の写しを保存しておくこと。)にもかかわらず提出されない場合は、事前に本省と協議の上、主治医に対して、法第49条の規定に基づき当該症状調査対象者の診療内容に関する報告若しくはレセプト等のほか帳簿書類の提示を求めること。

14 適正給付管理状況報告
 所轄局は、毎年4月末日までに前年度の適正給付管理状況を本省あて所定の報告様式(適管様式第3号)により報告すること。

15 その他
 本事務連絡を運用するに当たって疑義等が生じた場合には、随時、本省あて協議すること。

適正給付管理対策に係る組織的事務の流れ図(例)  <略>
様式名一覧表  <略>

上に戻る