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振動障害に係る保険給付の適正化について
 【平成8年1月25日 基発第35号】
○振動障害に係る保険給付の適正化について

 振動障害に係る保険給付の適正化については、昭和59年8月3日付け基発第391号「適正給付管理の実施について」及び昭和61年11月28日付け基発第629号「振動障害に係る保険給付の適正化について」(改正昭和63年8月31日付け基発第565号、改正平成2年10月29日付け基発第664号)をもって対策を指示してきたところである
 しかしながら、振動障害療養者の中には、依然として必要以上の期間にわたり療養を継続する等公正を欠くとみられるものも少なくない現状にある。
 そこで、今般、対策の運用面についての改正を行い、今後は、下記により振動障害療養者に対する保険給付の適正化を図ることとしたので、その的確かつ円滑な推進に遺憾なきを期されたい。
 なお、本通達の施行に伴い、昭和61年11月28日付け基発第629号「振動障害に係る保険給付の適正化について」は廃止する。
 



1 適正給付管理対象者
 振動障害療養者であって、療養を1年以上にわたって継続している者を適正給付管理対象者(以下「管理対象者」という。)とし、個別管理を行い、症状経過の把握に努めること。

2 症状経過の把握
(1)  管理対象者の症状経過を的確に把握するため、労働者災害補償保険法施行規則(以下「労災則」という。)第19条の2に基づく傷病の状態等に関する報告書のほか、診療担当医師(以下「主治医」という。)から定期的(夏季と冬季の年2回程度)に「振動障害診断所見書」(以下「所見書」という。)を、また、必要に応じ「振動障害に関する意見書」(以下「意見書」という。)を徴すること。
(2)  症状経過の把握に当たっては、昭和61年10月9日付け基発第585号別添「振動障害の治療指針」(以下「治療指針」という。)により定められている症度区分を把握することが重要であるので、診断書(労災則第19条の2に基づく傷病の状態等に関する報告書に添付される診断書を含む。)、所見書及び意見書については、症度区分が記入されたものを提出させること。

3 症状調査の実施
(1)  症状調査対象者
 管理対象者のうち、症状経過等から判断して保険給付の要否について調査の必要があると認められる者(以下「症状調査対象者」という。)については、計画的に調査を実施すること。
(2)  症状の把握
 症状調査対象者となった者の症状を的確に把握するため、主治医等に対する調査を実施するとともに、必要に応じ症状調査対象者に対する調査を実施すること。
(3)  調査結果に基づく区分
 症状調査対象者については、その調査結果から判断して
@ 療養の継続が必要と認められる者
A 一定期間経過観察をする必要があると認められる者
B 症状固定(治ゆ)と認められる者
に区分し、管理すること。

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4 療養の要否等の判断
 振動障害療養者の療養の要否等の判断に当たつては、主治医の意見等を踏まえること。
 なお、療養の要否等の判断に当たって疑義が生じた場合には、地方労災医員協議会に医学的意見を求めた上で、その後の処理方針を決定すること。

5 留意事項
(1)  所見書の提出
 所見書は、主治医が治療方針を立て、また、治療実績を経年的に観察するための診断項目を定めたものであり、振動障害に係る適正給付管理において管理対象者の経年的な動向を把握するため必要な資料であるので、主治医に対してその趣旨を十分に説明し、提出を求めること。
 なお、提出を求めるに当たっては、強制にわたることのないよう留意すること。
(2)  聴取り調査に当たっての留意事項
 振動障害療養者、関係者等から聴取り調査を実施する場合には、次の点に留意すること。
 聴取書は原処分庁の判断を裏付ける重要な証拠ともなり得ることから、その作成に当たっては、任意性と信憑性が確保される必要があり、何人の干渉も受けることのない状況で作成されなければならないこと。
 聴取りは、立会人の意見・要望を聞く場ではないこと。

(3)  医療機関との協力体制の整備
 振動障害療養者が治療指針に基づき適切な診断及び治療を受けられるよう地域ごとに振動障害の治療が可能な医療機関を把握するとともに、症度区分の把握が円滑に行われるよう管内の医療機関との協力体制の整備を積極的に図ること。
 なお、検査成績等から判断して症度区分に疑義が多く認められる医療機関に対しては、検査方法、症度区分を判断するに当たっての基準等について確認すること。

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